いつも本と。

日々の読書の記録や雑感を綴っていきます。

一気読みできるアメリカ文学『老人と海』

新古書店で80円で購入した新潮文庫老人と海』。

ヘミングウェイの晩年の短編、とっても有名。

訳は福田恆存(ふくだ・つねあり)1912-1994です。この訳がとても読みやすくって、しかもぐっと心情に迫ってくるものがあります。簡潔なのがまたいい。

というか、おそらく本文が飾り気なく、簡潔なのでしょうね〜。

あらすじは、年老いて、不漁が続き、周囲から敬意は払われてはいるものの漁師としては「終わった人」と見られているキューバの漁師サンチャゴ。手伝いの少年も、親から「あの男の船は運に見放されている」と言われ、仕方なく船を降りていて、毎日一人で孤独な漁に出ている。

不漁が続いた85日目、辛抱強く投げ続けた網に、経験したことのない大物がかかるが…。

 

もし学生の時に読んでいたら、「このお爺さん、凄い精神力だな、強いなー」くらいの感想だったと思うんですけど、大人になった今読むと、サンチャゴが魚に寄せる同情心や憐憫や尊敬が、すごくわかる気がします。あと、少年との心の交流が泣かせるじゃないですか…。

文庫裏の解説には「徹底した外面描写」とありますし、硬質で簡潔な文体は男らしさそのものだなと思います。だからこそ、老人や少年が見せる、相手を想う心がより美しく、尊いものに感じられます。

 

とにかく、毎日が新しい日なんだ。 (p33)